「ミスティック・アイズ」感想 [B.カンバーバッチのこと]
渋谷ヒューマントラストで「ミスティック・アイズ」を観ました。
ポスターに「静かに、彼の狂気は満ちていく」と書いてあったので、こわーいサスペンスなのかと思いきや、意外に穏やかな展開でした。
主人公はベネディクト・カンバーバッチが演じるデイヴィッドではなくて、妻のドーン(クレア・フォイ)でした。
ささやかながらも幸せな家庭生活を始めようとしているデイヴィッドとドーンの前に、デイヴィッドの弟であるニックが戦場から戻る。
心に傷を負ったニックが二人の前に現れたところから不穏な空気が漂いはじめる……。
イギリスの田舎の美しい風景の中で、淡々とストーリーが進んでいきます。
すごくハラハラドキドキなドラマチックな展開を期待していたら、あれ? と思うかもしれませんね。
イギリス映画ってわりとこういう感じなんでしょうか。
「僕が星になるまえに」もこんな雰囲気だったし。
でも、そうした何気ない日常の積み重ねのような描写が、だんだん観ているうちに心地よくなってきて、ずっと浸っていたい……、なんて思えてきました。
そして、デイヴィッド、ニック兄弟の子ども時代の虐待の問題、デイヴィッド夫妻の不妊の問題などが徐々に明らかになり、ドーンは、優しい夫であるデイヴィッドに知らない一面があることに気づいていく。
不穏な空気が徐々に満ちていき、最後はどうなるかと思ったら、あらら? という結末でした。
ニックは最後行方不明になり……もしかしたら自殺してしまったのかな、という余韻。かわいそうなニックだったので、そうであってはほしくないな、というのが感想ですが。
ドーンは一度の過ちで、デイヴィッドの子ではない赤ちゃんを産み、デイヴィッドはそれを受け入れて、幸せな夫婦って感じで終わります。
めでたしめでたし……?
にわかに「デイヴィッドよ~! おまえはそんなことで悲しくないのか~!!そのようなことで~!」と叫びたくなりました。
不妊で悩んでいたとしても、他に解決策はなかったのか……。
子どもが成長して、まったく自分に似ておらず、知人にどんどん似てくるのを見ることになるであろうデイヴィッドは平気でいられるのだろうか?
そういう意味でこわい結末といえるのかも。
お話にはモヤモヤ感が残りますが、やはりベネディクトファンなら観ておくべき一本です!
ベッドに上半身裸で座っていた後ろ姿、しまっている背中が美しかったです~!(^^)
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「ミスティック・アイズ」(原題: WRECKERS )
2011年 イギリス 85分
【監督】D・R・フッド
【キャスト】
ドーン…………クレア・フォイ
デイヴィッド…ベネディクト・カンバーバッチ
ニック…………ショーン・エヴァンス
(2014年3月 記)
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